日本は太平洋戦争で勝機があった!? ミッドウェー海戦を考察

2021年8月2日

1945年8月15日、ポツダム宣言を受諾した日本は連合国軍に無条件降伏しました。

 

戦後は、学校教育、ニュース、新聞、その他のメディアなどでも、日本が勝てる見込みのない戦争をしたと言われがちです。

 

しかし、日本には勝ち目があったと私は思います。

 

もし、陸軍と海軍の対立が無く、補給路などを考えて計画的に行動していたならば、勝機はあったはずです。

 

当時、日本の陸海軍は最強と言っても良いほど強かったのです。

 

前にも同じような記事を書きましたが、今回はミッドウェー海戦を中心に考察しようと思います。それ以外にも、ドーリットル空襲、セイロン沖海戦、珊瑚海海戦についても本記事で取り上げています。

上記の記事も是非読んでみて下さい。

 

また、最後の見出しでは、日本人の戦争や平和に対する意識の問題点について指摘しようと思います。

 

日本軍の勝機と運命の分かれ道

快進撃とドーリットル空襲

日本は真珠湾攻撃、マレー半島上陸から始まる快進撃を続け、瞬く間の内に太平洋の島々を占領しました。

 

日本軍はニューブリテン島を占領し、さらに、ニューギニアに上陸し、北部を制圧するなど、破竹の勢いでした。アメリカ側は、何としても国民の戦意高揚と反撃のために何か大きな事をしたかったのです。

 

そして、4月に日本本土が初空襲(ドーリットル空襲)を受けました。アメリカ軍の空母ホーネットから発進したB-25爆撃機16機が、東京などに空襲を行いました。

空母ホーネットから発艦するB-25爆撃機。

この空襲は無差別爆撃で、民家や民間人にも被害を与えました。快進撃を続けている中で、まさか米軍機が飛んでくるとは思っていなかったでしょう。

 

そのため、国民の心理的ダメージは大きかったのです。米軍の目的は、爆撃により被害を与えるというよりは、日本国民や政府に動揺を与え、後のミッドウェー海戦に誘導することです。

 

米軍の期待通り、日本政府や国民は相当動揺していました。

 

特に、日本の首都である東京に爆撃機が飛んでくるということは、皇居にも危険が及ぶということです。それを政府や軍は許すはずがありません。

戦力を集中させなかったミッドウェー海戦

政府、海軍としては、面子にかけても敵の前線基地であるミッドウェー諸島と爆撃に関わった空母2隻(エンタープライズ、ホーネット)を叩きたかったのです。

 

ミッドウェー諸島はハワイの近くにあります。日本からはかなり距離がありますが、もし占領できれば、アメリカの太平洋における重要な拠点であるハワイに強い圧力をかけることができます。そうなれば、勝利も見えてくるという算段でしょう。

 

しかし、日本のミッドウェー作戦は中途半端な戦力でした。

 

ミッドウェー作戦には空母を6隻投入できたのに、陽動作戦のアリューシャン作戦に2隻投入したことにより4隻となってしまったのです。

 

そもそも、日本はセイロン沖海戦や珊瑚海海戦などでも暗号を解読されており、戦闘でもヒヤリとさせられたり痛い目を見ていました。そのため、もはや陽動作戦など無駄であるのは明らかです。

 

実際、アリューシャン作戦も早々とバレていたのです。

 

それなら、戦力を集中して一気に攻める方が賢明だと言えます。ミッドウェー海戦で導入されたアメリカ側の空母は3隻ですから、の数で挑めたのです。

 

また、戦艦の数も多かったのですが、ほとんど戦闘に参加しなかったのです。

アメリカの思い通りのミッドウェー海戦

ミッドウェー海戦は、まず日本がミッドウェー諸島に爆弾を投下しました。滑走路や施設を使えなくするためです。しかし、損害は軽微なものでした。

日本軍の空襲で炎上するミッドウェー基地。
日本軍の空襲で炎上するミッドウェー基地。

日本としては、この後滑走路や施設などにとどめを刺し、米空母にも攻撃を加えて勝利の予定でしたが、思いがけず米軍機がやっててきたのです。

 

日本軍の飛行機は、陸用爆弾を積んでいたので、艦船に対して攻撃しやすいように魚雷に切り替えました。

 

しかし、時既に遅し。爆弾の積み替え作業中に攻撃を受けたため誘発し、瞬く間に3隻の空母が火に包まれました。

 

その後、残った1隻が反撃し、米空母ヨークタウンを大破(その後、日本軍の潜水艦による雷撃で沈没)させましたが、結局集中攻撃を受けて大破し、他の日本の空母3隻と共に沈没したのです。

 

奇襲のつもりが迎え撃たれていたのです。完全にアメリカに乗せられてしまったのです。

 

開戦直後は有利だった日本は、本土初空襲で動揺し、はるばるミッドウェーまで仕返しに行くも、返り討ちにあったわけです。

 

また、珊瑚海海戦の教訓を生かせず、暗号解読という同じ手に引っかかったのです。

運命の分かれ道 “反省の怠り"

珊瑚海海戦では、日本軍は空母を1隻失っています。この時も、日本軍の方が戦力的には有利でしたが、かなり苦戦しました。

 

この時の反省を生かすことができれば、4隻沈没という大敗北は避けられたはずです。

 

日本海海戦で有名な東郷平八郎ですが、旅順封鎖作戦時には、触雷により戦艦「初瀬」「八島」の2隻を喪失したこと、黄海海戦では決定打を与えられずに逃げられてしまったことなど、苦労は多いです。

 

しかし、教訓を生かして日本海海戦では、バルチック艦隊を壊滅させる大勝利を収めたのです。

 

ですが、太平洋戦争では教訓を生かさず、情報の統制ばかりに気を遣っていたようです。特に、珊瑚海海戦での過大発表など以っての外です。

 

敵の損害がやたら大きく、味方の損害が過小になってしまっているのです。その割には空母1隻喪失の反省は後に生かせず、さらに大きな失敗に繋げてしまっているのです。

 

さらに、ミッドウェー海戦以降も過ちを繰り返します。まだ占領できていないニューギニアからさらに1000km以上離れたガダルカナル島に攻め入ったり、第2次ソロモン海戦では空母を1隻を失ったり、連合国軍の重要な輸送路であるインド洋での作戦を中止したり、散々です。

沈没する英空母ハーミーズ
セイロン沖海戦にて。日本軍の攻撃で沈没するイギリス軍空母ハーミーズ。1942年3月当時、日本軍はインド洋の制圧を目の前にしていた。

完全に連合国軍に乗せられており、優秀なパイロット、兵士、軍艦を消耗していくのです。その後は、補給を絶たれ、餓死や病気する者さえ多数出たのです。戦争の後半は、まともに戦うことも出来ずに亡くなる人が多かったのです。

 

戦争を指揮した軍人たちは、本当に軍人であるのか疑問に思える程です。戦場の厳しさを知る者が、こんな無茶なことをしないでしょう。実際にその戦略に反対した軍人は多くいます。ですから、軍人全体が悪いのではなく、保身に走ったり考えが浅かった指導者(政治家など)たちも問題なのです。 

日本の勝機

アメリカによる本土空襲に翻弄されず、インド洋での作戦に集中すれば、連合国の重要なシーレーンを断ち切ることが出来たのです。

 

そうなれば、インド・ビルマ方面での戦闘は日本のものですし、イギリスから支援を受けている中国も戦闘の継続が困難になります。流石のアメリカもドイツやイタリアとも戦争していますので、全力を尽くして向かってくる日本に対して戦争を継続するのは困難です。

 

また、先に述べた通り、ミッドウェー海戦も戦力を集中すれば、十分に勝利を収められたでしょう。

 

零戦にも代表されるように、当時の日本の航空戦力(もちろんパイロットも)は非常に強かったのです。しかし、それら(彼ら)が十分に活躍できずに終わったのです。

 

こういった点から見ても、戦争指導者は問題があり、責任も重大です。

 

現在の日本の戦争に対する意識

日本では戦争に関して、「もう二度としてはいけない」とか、「二度とあのような過ちを繰り返してはいけない」という認識があります。

 

これは最もなことであり、大いに共感するのですが、だからといって自衛隊がいらないとか、もし攻められたり攻められそうになっても「何も抵抗しなければ良い」という考え方は違うと私は思います。特に、「こちらが何もしなければ、相手も何もしない」という考えは問題です。

こちらの価値観が相手にも通用するとは限らないからです。「戦争をしても誰も得をしない」とか、「戦争をしても多くの死者を出し、悲劇に繋がるだけだ」と日本人は考えますが、相手側の国の指導者の考え方では、「軍需産業の発展のため」とか、「多少の死者を出しても問題は無い」などのような場合もあるのです。

 

普通の人には理解できない鬼畜な考えを持った者はいます。ですから、こちらが何もしなければ大丈夫などと思ってはいけません。

 

また、戦争を避けるためといって、相手の言う通りに従ってばかりいれば、そのうち属国になってしまいます。そうなれば、自国民を優先して占領下の人たちは、そのうち弾圧などをされる可能性もあるのに、それが本当に平和への道と言えるでしょうか。

 

外交努力というものは、ただ相手の言う通りにするものではありません。自分の国の利益を守りつつ、相手に妥協し戦争を避けるのです。

 

ただ戦争が嫌、怖い、お互い利益がないから話し合おうというのは、場合によっては甘えであり、現実の問題から逃げていると言えます。

 

戦争の可能性を頭に入れつつ、最大限平和的解決の道を探らなければなりません。ましてや、相手の言いなりになって、好き勝手されればそれこそ平和から遠ざかり、多くのものを失うことでしょう。

 

先程も述べましたが、反省というのも重要です。ただ、今日の日本の反省は、漠然と「戦争を起こしたことを反省する」「2度とあのような戦争を起こさない」などといった自虐的なものです。日本だけが戦争を起こすもので、他国は戦争を仕掛けてこないとでも思っているのでしょうか。

 

一体どこで何を間違えたか、その当時の人々がどのように考えたのかなどの経緯については、反省されていません。特に、戦略的な面では反省されていません。

 

今後の有事のことを考えれば、戦略に関しても反省すべきです。さもなければ、同じ過ちを犯し、完全に相手が悪くても戦争に負ければ悪者です。

 

ただ困難から逃げるだけでは平和は訪れません。過去の日本についてただ自虐するだけでも同じです。

 

過去の政治家のしたことをただ自虐するのではなく、「何故戦争になるのか」「何故そのような考えに至ったのか」「どうすれば戦争を避けられたか」などを考えて、今後の困難を乗り越えるための努力が大切です。

 

長くなりましたが、ここまで読んで下さった方々、ありがとうございます。これからも、こういった話題を時々扱っていく予定です。よろしくお願いします。