海上自衛隊 いずも空母化

戦後、長きにわたり日本は、戦闘機を離着艦できる空母を保有していません。しかし、その時代は変わろうとしています。

安倍政権は18日に閣議決定した「防衛計画の大綱(防衛大綱)」と「中期防衛力整備計画(中期防)」で、海上自衛隊の「いずも」型護衛艦を改修し、米国製の最新鋭戦闘機F35Bを運用する方針を示しました。
これにより、日本は戦後初めて、事実上の空母を保有することになります。
発表された計画によると、航空自衛隊の主力戦闘機F15の後継として、米ステルス戦闘機F35を計105機購入する予定です。このうち42機を、短距離離陸と垂直離着陸が可能な米戦闘機F35Bが占めます。




​空母化への改修
海上自衛隊最大の護衛艦いずもと、同型の「かが」は現在、ヘリコプターを搭載しています。そのままでは戦闘機の離着艦はできないので、F35Bの重さや着陸時の熱噴射に耐えるよう改修します。  ​​
​莫大な予算
2019~23年度の中期防によれば、5年間の防衛予算総額は27兆4700億円にものぼります。この中にはF35Aのうち27機、F35Bのうち18機の取得や、サイバー防衛など陸海空自衛隊が共同で対応する領域への投資が含まれています。
​憲法
ただ、問題は憲法との整合性である。憲法9条に基づく「専守防衛」のもと、政府は「性能上もっぱら相手国の国土の壊滅的な破壊のためのみに用いられる攻撃的兵器」の保有を禁じてきました。



空母保有をめぐる議論は古くから国会で続いていましたが、瓦力防衛庁長官が「攻撃型空母を保有することは許されない」(1988年3月11日参院予算委)と明言する一方、「憲法上保有しうる空母はある」(88年4月12日衆院決算委)とも述べ、このとき「防御型空母を保有できる」とする政府見解が示されたのです。


その防御型空母は、現在のいずもなどの護衛艦です。ヘリコプターを搭載し、戦闘機は搭載しません。とはいえ、その気になればいつでも戦闘機を搭載できる能力のものです。


​協調、緊張
米英との協調の上では重要なものとなりますが、周辺海域の緊張を高める可能性はあります。


ただ、中国の海洋進出を見ていると、空母という「攻撃的兵器」の保有も止むを得ないでしょう。