雷雨喘息 花粉で命を落とす!?

2021年3月21日

5E9AFFBA-46BF-49E6-9462-C523915F060D-thumbnail2.jpgくしゃみ、鼻水、目のかゆみなどを伴う花粉症。しかし、海外では死亡した例があります。一体どういうことなのでしょう。解説します。

花粉で死ぬというのは信じ難いですが、実際にオーストラリアで、花粉症のシーズンに悪天候が加わって起こる、「雷雨ぜんそく」と呼ばれる重いぜんそく症状の発作で、入院、死亡する人がいるのです。

 
 
 ビクトリア州では2016年11月21日、数百人が病院の救急診療を受け、4時間のうちに救急要請は1900回に上り、通常より60台多い救急車や警察、消防も対応に当たりました。そして、6人が死亡したのです。
 
雷雨喘息は、ライグラスというイネ科の植物などの花粉が多く飛散している時期に嵐が重なると発生すると言われています。また、雷雨喘息の多くは草の花粉が原因ですが、樹木の花粉やキノコの胞子でも起こると言われています。

​​​症状が重篤化する原因

非常に花粉が多く、湿度が高い時に激しい雷雨が起きると、湿度のせいで花粉の粒子が水分を含んで細かく割れます。
 
通常なら花粉は鼻の中の毛に引っかかるのですが、細かくなると肺まで到達してしまいます。
 
その結果、気管支は花粉に刺激されて腫れ上がり、粘液で満たされてしまいます。すると、溺れたのと同じような状態になり、呼吸困難が起きます。
 
 
 雷雨喘息は、もともと喘息の発作を起こしたことが無い人でも発作を起こしています。そして、花粉症の人は特にリスクが大きいと言われています。
 

​​​日本でも可能性がある!?

​日本でも雷雨喘息になる可能性はあります。日本では、花粉は5月から7月に多く飛散することから、夕立などが多い7月ぐらいに起こる可能性が否定できません。
 
 
特に最近は、日本各地で集中豪雨が起こっているので、決して他人事ではありません。実際に日本でも台風の多い秋、梅雨の時期に花粉症が悪化したり、患者が増えるとの話があります。
 
 
日本では大きな被害は出ていないものの、花粉の飛散量は多いので、天気が荒れている時、花粉症の方は特に要注意です。

​​​対策とまとめ

​日本では、花粉症が重篤化することは稀です。花粉によってアレルゲン性の高さも異なりますが、花粉の種類と量によっては、まれにアナフィラキシーを起こすことがあります。花粉症の症状が酷い人や、特に喘息の既往症のある患者は、激しい呼吸によって多量の花粉を吸引するおそれがあるような運動はなるべく避けるべきです。特に、豪雨や台風の後は外出自体を避けるべきです。
 
 
 花粉症ではない人、花粉症の症状が軽い人でも花粉の飛散が多い時期の豪雨や台風の後は注意し、特に花粉の多い山などには行かない方が良いです。
 
 
 花粉症専用のマスクも効果的なようです。また、花粉症を治療するのも効果的かもしれません。
 
 
​雷雨喘息は決して遠い異国だけでの話ではありません。今後日本で起こる可能性があります。特に日本は、スギ花粉の飛散量が半端ないので、要注意です。