花粉症の治療法 注射で改善!? ステロイド注射とは
くしゃみが止まらない、鼻水が止まらない、目が痒くてたまらないなど、とても厄介な花粉症。
人によっては生活に支障を来たすレベルの場合も多々あります。例えば、「息をすることさえ苦しい」、「鼻水が止まらなくて勉強や仕事どころではない」などです。
花粉症の治療法はいろいろとありますが、前から注射を使う治療法が注目されています。
注射で花粉症の症状を軽減
花粉症の「ステロイド注射」とはケナコルト-A(一般名トリアムシノロンアセトニド)を成人1回20~80㎎×1~3回筋肉注射(筋注)する治療法のことです。
各種ステロイド薬は臨床上最も効果を実感できる薬の一つですが、ケナコルト-Aで花粉症が完治する訳ではありません。しかし、実施医師や治療を受けた患者の話によると、1回の注射で翌日より症状はほぼ消失し、1~数週間、場合によっては1シーズンもの間効果があるようです。
場合によっては効果絶大と言えますが、副作用の問題があるので「ステロイド注射」はあまり打たない方がよいでしょう。厚生労働省や日本耳鼻咽喉科学会も「ステロイド注射」を推奨しておりません。
ただし、ケナコルト-Aは花粉症の治療適応を取得しており、『鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2016年版(改訂第8版)』では重症・最重症者へのステロイド短期内服療法は推奨しています。
効果は高いですが、副作用の問題があるので、重症でなければステロイド注射は行わない方が良いということです。
ステロイド剤の性質と副作用
ステロイド剤は、本来人体の副腎皮質で分泌されているホルモンを人工的につくり出した薬剤で、ヒスタミンによって引き起こされた鼻の粘膜の炎症、目の結膜の炎症を鎮めます。
また免疫系の反応も低下させるので、アレルギー反応も抑える働きをします。その効果は非常に強力なので、花粉症だけでなく多くの炎症性の疾患での「切り札」的な薬です。
強力な効果を持ちながらその反面、ステロイド剤には強い副作用があります。本来体が持っているホルモンを人工的に与えることで、体のさまざまな機能のバランスに影響を与えます。
また急に中断すると副腎の萎縮によるリバウンドの危険もあります。花粉症で使用する程度の量であれば大丈夫といわれていますが、長期にわたる使用は控えるべきです。目薬や点鼻薬など局所的な使い方でも、目や鼻の感染症が発生したり、鼻の粘膜が弱くなったりして、その結果緑内障の原因になることもあります。
ステロイド剤には注射意外にも内服、点眼、点鼻があります。よく、「注射一本で花粉症シーズンを楽にすごせる」現在でも時々聞きますが、ステロイドの注射は内服に比べ、はるかにリスクが高いものです。
効果も持続するが副作用も持続する
同じステロイドでも、内服薬なら服用して数日のうちに代謝して体外に排泄されるので、効果も持続しませんが、副作用が出たときは服用を中止することで対応できます。
一方、注射の場合、効果が1カ月持続するので「楽でよい」と考えがちですが、逆に重篤な副作用が生じた場合でも薬が排出されるまでの1カ月間、副作用も持続することになってしまう点が厄介です。
花粉症の症状の緩和と根治
副作用の問題があるため、ステロイド注射は重症でなければ、安易に打つのはやめておくべきです。
尚、ステロイドを使った治療法や、レーザー治療などは、花粉症の症状を緩和しますが、根治はしません。
根治するためには、免疫療法が有効ですが、治療に時間がかかり、副作用もあるため、花粉症の治療というのはなかなか大変であると言えます。
効果があると聞いたからと安易に手を出さずによく調べて、それなりの覚悟を持って治療を受けるべきです。
また、一つの治療法だけではなく、いくらかの治療法を併用するのも効果的です。
他にも花粉症の治療法について紹介していますので、是非参考にしてみて下さい。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません
コメントは管理者の承認後公開されます。公開を希望されない方は、その旨をコメントに添えて下さい。スパム対策のため、日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。